額縁とは?
ここでは額縁の役割・効果などについて、説明いたします。
(1)額縁とは?
作品を壁に飾るために、絵画をはじめとする作品を中へと収める枠の部分です。様々な太さ、深さ、デザインのものがあります。
詳しい額縁の選び方ついてはこちら
(2) 額縁の役割・効果
①、②は一般的に言われている事、③は弊社独自の考えです。
①視覚的効果
額縁へと作品を収めることで、作品に広がり、色彩、装飾を与えることができます。
バランスの良いサイズ、形状、色の額縁を使うことにより作品が持つ個性を際立たせる事ができます。
逆にバランスが悪い額縁を選んでしまうと、作品の個性を損なう事になります。
②保存効果
保存効果を持つ材料を使用して額縁に作品を収めることで、作品の経年劣化を遅らせることができます。(保存額装と呼ばれております。)
③飾る効果 (記憶の共有化)
作品を額縁に収めることで、壁に飾ることができます。これにより作品をインテリアとして楽しむことが可能となるでしょう。
又、作品を壁に飾ることにより、様々な人が作品を目にすることができるようになります。特に生活空間に額縁を飾ることにより、そこで生活する人々の共通の記憶に無意識に残るでしょう。
この事は額縁の最大の効果だと私たちは考えております。
例えば、日常を切り取った何気ない家族写真をご自宅の壁へと飾ることにより、その写真が生活空間の一部となり、家族共有の記憶に残るものとなるでしょう。大切な思い出、大切な物を額装して、生活空間の一部として、大切な人たちと思い出を共有化する事ができます。
(3) 額縁の製法による区分
額縁はいくつかの製造方法によって作られています。一般的には本縁や組縁の2種類とされており、さらにもうひとつ少しだけ違ったモールディングを組み合わせる形での額縁の製造方法があります。その違いを知っていただきたいと思います。
①本縁
簡単に言えば、組み終わった枠を加工して完成させる額縁です。四辺の額を組んだあと、下地を吹き付けて金箔や塗装などを施して仕上げます。本縁は完成した枠に装飾をするため角の継ぎ目が見えにくくなります。
一般的にはもうひとつの製造方法よりも手間がかかるため、本縁の方が高級とされていることが多いです。
②組縁
本縁とは違い、すでに加工し装飾を完成させた長い棹を用意するところから始まります。それを切断して組み上げ、角を補修して完成させるのが組縁です。
本縁とは違い、角の継ぎ目が見えやすい作り方になっています。
③モールディングを組み合わせる
額縁に使用されるモールディングとは、額の材料となる装飾された棹のことです。金箔や銀箔などを貼って加工したアンティーク調の素材や、マット塗装、ラッカー塗装など棹によって様々な装飾を施してあります。
自分の好みのモールディングを組み合わせることで半オーダーメイドの額縁を作ることが可能です。またその場合、深さやサイズ、額縁以外の装飾もオーダーすることができます。ただ、複数のモールディングを組み合わせる場合、デザインによっては角の部分の装飾がうまく組み合わないということもあるかもしれません。
(4) 額縁の素材(材料)
額縁の本体、大枠の部分に使用されている素材は一般的に4種類に分けられます。額縁本体の素材に関しては、あまり選ぶ際に重要視して見る必要はないことが多いとも言われていますが、それぞれの特徴だけでも知っておくといいかもしれません。
額縁の素材については古くから扱われている木材から新しく作られている素材まで、技術の進歩によって品質における大きな格差は減ってきました。額縁を楽しむにあたり、何よりも大切なのは自分が気に入った見た目のものを選ぶこと。素材の違いで影響があるのは加工の段階であることがほとんどですし、ぜひ完成したデザインの額縁を見て比べてみてください。
①木製
一般的に額縁を作る素材として広く使用されているのが木材です。木材は加工が簡単にできることが利点になります。かたい印象を与えやすい直線や柔らかいカーブ、その他複雑な形状の加工も木材であれば理想通りにできる可能性が高いです。組み上げた後に装飾を施すことができることも木材の利点です。
また素材そのものを活かした木目のある額縁もよく見かけるのではないでしょうか。塗装を施さずに木の表面を扱った額縁は、ぜひ色合いや節目に着目してみてください。一つとして同じ模様のない自然の温もりを活かした木材の額縁をご自分の目で味わいましょう。
②金属製
額縁に使われる金属は、一般的にアルミ製が多いです。他の素材よりも薄く、細く加工しても丈夫であることが特徴で、主に展示会などで使われる仮縁に多く使用されています。
仮縁とは展覧会などで絵画を長い距離運ぶ際に用いられる簡易的な額縁のことです。裏板や保護膜が付属しておらず、自分で組み立てる構造のものが広く使用されています。一時的な保護が目的なため、強度があって重さの軽い金属製の額縁が使われることが多いようです。
金属製の額縁は仮縁として使用される傾向がありますが、シャープで直線的な、すっきりとした印象を与えるため、飾るための額縁として選ぶ人もいます。しかしアルミ製のフレームは新しい形状を作ることが難しいとされています。押し出し加工という、寒天に圧力をかけて押し出しところてんを作る、といった手法と同じ製法が使用されているためです。
同じ形の棹を長く作り額に組み上げているので、一部分のみ加工を施すような額縁にすることはほとんどありません。ですからスマートで強固な額縁として扱われることが多い素材です。
③樹脂製
合成樹脂、言い換えればプラスチックを扱った額縁は軽くいため持ち運びが安易なことが利点になります。また樹脂製の額縁は見た目のほとんどが塗装やラッピングに左右されます。ですから塗装が施される場合、木材よりも安価な樹脂製の方が好まれる傾向があります。合成樹脂の製造方法の特徴から製品の品質を一定に保つことが可能であるため、今後広く扱われるようになるのではないでしょうか。
技術の発展により近年ではクオリティの高い樹脂製の額縁が多く販売されています。樹脂でしか作る事のできない質感や色合いをもつ額縁も製造されており、今後が楽しみな素材との声もあります。
④MDF製
MDFとは、Medium Density Fiberboardの略称で、日本語では中密度繊維板と呼ばれています。木材チップを蒸煮して一度繊維状に加工し、それに合成樹脂を加えて板状に成型したものです。そういった木質繊維を加工することによってできる板をファイバーボードと呼びます。その中でも密度が高すぎず低すぎないものが中密度繊維板となります。リサイクル素材を取り入れて作ることができるので、環境に優しいというメリットは嬉しいところでしょう。
MDFが額縁に使用される場合、他の素材と比べて表面が硬く平らで、なめらかな手触りがあることが特徴です。木材と同様に加工がしやすく軽いですが、MDFはさらに木材特有の乾燥割れや反りなどの特徴が軽減されています。しかし木材よりも強度が弱いため、大きな額縁には向いていないと言えるでしょう。
樹脂製と同様、見た目が塗装やラッピングに左右されやすいですが 製品の品質を一定に保つことが可能な素材です。今後の発展に注目してみてください。
(5) 額縁の歴史
一般の人が額縁と聞いて思い浮かべるような形態のものが登場し始めたのは16世紀初頭。それが17世紀に入って一般的な家庭でも普及していったとされています。
それまでは壁画という形で直接壁をキャンバスとして描く形の絵が定番でした。最古の絵画は洞窟の壁に描かれたものであり、その後建物物の壁にも描かれるようになったとのこと。
つい立て式に板絵に描かれたものが登場したのが12世紀。以後その板絵も豪華なものへと変身していったのです。
13世紀も半ばすぎるようになると、パネル状になった彫刻・絵などを組み合わせていくという方法が確立され、その豪華絢爛を競うようにまで発展していったとされています。
最盛期には大小に描かれた作品の複合式という形態もさることながら、その個々に描かれた板絵自体がすでに現代の絵画の原型となるようなものが登場したというところが、まさに絵画の原点といわれる所以でもあるからでしょう。
その後栄華を極める技法や表現の仕方の著しい向上を遂げたのは中世期後半と言われています。どちらかといえば壁画が場所や周辺の状況に左右されていたのに対し、描く場所などが拘束されないタブロー画の登場が大きくかかわっているというのが大方の見方のようです。
そして額縁は、絵画の主流が壁画から板絵へと移行するのにつれ、作品装飾・保護などを目的として発展をとげてきました。
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- Hello world! - 2018年11月28日