【保存額装】作品の保存とは?

作品の保存とは

作品は経年経過と共に劣化が進んでいきます。
作品の劣化とは色の変色、紙の酸性紙化(劣化)が挙げられます。
使用している画材の性質上、完全に劣化をしない事はできませんが、遅らせる事は可能です。
弊社では美術館が行う美術作品を保存するような本格的な保存方法ではありませんが、低コストでお客様の作品を守るために弊社で行える保存額装をご案内します。

作品の劣化とは

1.色の変色
その大きな原因として光による影響(紫外線と光の強さによる退色)が挙げられます。

①紫外線 
太陽光などに含まれている紫外線が当たる事によって、色の変化が起こります。

②光の強さによる退色
LEDのような紫外線をほとんど含まない可視光光源によっても、被照射物の色が薄くなったりする退色や変色が発生することがあります。LEDによる退色の程度はハロゲンランプとほぼ同等以下ですが、照射する明るさ(照度)に比例して退色は起こりやすくなります。



壁画は直射日光が当たり、気温、湿度の影響を受けるので、劣化が早くおこってしまいます。

2.紙の酸性紙化(劣化)
大きな原因として湿気が挙げられます。湿気は紙の酸性紙化(劣化)、カビ、染みの発生の原因です。

 

①湿気
湿気が60%以上の場合は、カビが発生しやすい環境です。グラフから日本はカビが発生しやすい環境である事がわかります。


東京、大阪、神戸、京都の月平均相対湿度を比較。単位%(資料:理科年表の1981~2010年の平均値を基に松尾和也氏が作成)


また、昨今の住宅の高気密化(隙間が無くなる事)によって、結露の発生率は高まっています。
裏板の結露時の吸湿量に応じてリグニン色素(アク)の移行は促進され、同時に内部に向かって透湿し、作品の酸性紙化(紙そのものが劣化する)やカビの発生を招く要因になります。



紙自体が酸化し劣化する(内的要因)、光、気温、湿度の変化、カビによる劣化(外的要因)に分けられます。

【弊社の保存額装】
美術作品を保存するような本格的な保存方法ではありませんが、低コストでお客様の作品を護るために弊社で行える保存額装をご案内します。

 

(1) 紫外線対策 
UVカットアクリル (詳しい説明はこちら)
弊社で扱っているアクリル板は「UVカットアクリル」です。(一部の商品を除く。)


「コモグラスCGUV40」

特長
紫外線吸収機能を付与したアクリル板です。
特に紫外線劣化が懸念される環境下で抑制効果を発揮します。
400ナノメートル以下の紫外線を97%以上カットし、保管品の外光劣化を防止します。

①紫外線を吸収します。
ガラスやアクリル一般品と異なり、美術品にとって有害な400ナノメートル以下の紫外線をカットしますので、展示品の材質劣化や変色を防ぐ働きをします。
また可視光線は90%以上透過し、鑑賞の妨げになりません

②軽い
ガラスに比べて割れにくく、重さも約1/2と軽量です。

 

注:絵画を飾っている以上、可視光線による色褪せは防げません。光の当たる強さを弱めたりすることで退色を軽減することができます。なるべく作品との距離を離したり、調光などで光量を下げて使うなどの方法をご検討ください。



(2)湿気対策
スーパーバリアシート



弊社では湿気の影響を作品に与えないためにスーパーバリアシートを使用しております。 (詳しい説明はこちら)
経年劣化でリスクを高める裏板からの湿気侵入のバリアと作品の安全を護る両面対策品です。

特長
①アク(リグニン色素)と酸化物質が、作品へ移行する事を防ぎます。
強酸または強アクリルのほか薬品や溶剤に接しても変化しない優れた耐性を持ちます。

②PAT試験に合格した素材で作品が触れても安全なシートです。

PAT試験とは
「写真活性度試験」といって、写真に与える影響を調べる試験です。写真画像は水彩紙、版画紙など一般の紙資料に比べて、はるかに化学的に敏感で劣化しやすい資料です。従って写真画像の包材や保護紙には、長期に及ぶ安全な適性が求められます。この安全性の適否を判定する試験方法が「写真活性度試験」であり、国際基準化機構(ISO)により規格化されています。つまり、この試験に合格した素材は。そのままその他の紙資料に対しても安全な包材や保護紙として、科学的な裏付けを持つ素材といえます。

③吸湿しない素材ため、裏板の持つ湿度が額内部へ向かう透湿を防ぎ、カビの発生を抑制します。

④価格 1091×788 640円(税別) 安価に湿気対策ができるのでお勧めです。

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